【ゲーム感想】ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON|初めてロボットものにハマった

【あらすじ】

ルビコンという惑星にはコーラルと呼ばれる独自のエネルギー資源が眠っており、非常に有用な一方でかつて”アイビスの火”と呼ばれる大災害を引き起こす要因となっており、底知れぬ危険性を孕んでいた。

アイビスの火により失われたと思われていたコーラルだが、近年になりまだ星内に眠っていることが判明し、それを狙う巨大企業のアーキバスベイラムによる侵攻が始まる。ルビコンの土着民族で結成されたルビコン解放戦線は資源であるコーラルを奪われることに対抗すべく決起し、またかつての大災害をきっかけに星を隔離するために動く惑星封鎖機構も両陣営を監視・制圧すべく動き出すなど、戦火が巻き起こりつつあった。

そんな中、ハンドラー・ウォルターと呼ばれる男により目覚めさせられた強化人間C4-621は、どの陣営にも属さない独立傭兵としてルビコンに潜入し、彼の指示のもと撃破された機体のライセンスを奪いレイヴンと名乗りコーラルによる利権争いに干渉し利益を得ることとなる。しかし、ウォルターには金ではない何か別の目論見があるようで……というお話。

 

 

ARMORED CORE』シリーズの最新作。

シリーズは未プレイ……というか開発元のフロム・ソフトウエアの作品自体触ったことも無くて、こういう二足歩行型ロボット(なんで呼称すれば良いか分からない)ものもフリプであった『タイタンフォール2』のストーリーモードくらいしかやったことがないという完全な門外漢。丁度次やるゲームを探してる段階で話題になっていたので何の気無しに買ってみたが、これが予想以上にハマってしまった。

シリーズ恒例なのかは分からないが、画面に映るのは基本登場人物が乗るロボットのみで、喋り声と使用機体の見た目だけでキャラクターを作り上げているという渋さが良かった。日本製のゲームはキャラクターのクドさで脱落してしまうことも多いんだけど、そういうことが起こり得ないような、あえて人間としての姿を見せないという抑えた手法を取っているのが自分の嗜好に合った。それでいて結構ストーリーはアツいところがあり、雇い主であるウォルターとの関係性や、仕事を共にすることになる傭兵部隊との共闘や敵対、コーラルという物質についての真実など様々な展開を見せる物語はシンプルに面白い。細かい設定などはあえて劇中でも語られないところが多く、正直全部を理解しきれているとは言えないが、そういう余白のある語り口も好みだった。

 

フロムゲーと言えば高難易度というイメージが未プレイの自分にもあったが、御多分に洩れずなかなかの歯ごたえだった(比較すると全然簡単な方ではあるが)。

一番最初のチュートリアルミッションで登場するボスが何の変哲もないヘリに見えてめちゃくちゃ強いというところから既に洗礼が始まっており、初っ端からリトライの連続で心が折れかけた。ただ、ここは「左腕のデフォルト装備である剣で大ダメージを与えられる」「剣のような近接武器はスタッガー(スタン)のゲージを溜めやすく、相手の足を止めるキッカケになりやすい」「図体がデカい敵は懐に潜り込むと攻撃が当たりにくくなる」という戦闘の基本に気がつくと途端に難易度が下がるというまさにチュートリアルにうってつけのキャラクターになっており、脳死でやってると一生クリア出来ないが攻略法を見つければ楽勝というバランス感覚も良かった。

レベルアップなどはないので、ストーリー進行と共に増えていくパーツの組み合わせで機体構成を変えながらミッションごとに最適な機体を探っていくことになる。例えば正面のガードが異様に硬い上に機動力も高く弱点の背後を取らせない敵には垂直で落下するミサイルを撃ちまくって楽々ダメージを与えたり、空中浮遊して上を取ってくる相手には四脚というホバリングが出来る脚部パーツで空中戦を挑みアドバンテージを与えないなど、これまで見向きもしなかったパーツが意外なほど刺さったりする楽しみもあり、最強パーツを集めて終わりという形にはならずスタイルを変えていかないといけないのでマンネリ化しない。周回していると前回苦戦した敵をあっさり倒せたりして、自分のスキルが上がったことが分かるのも嬉しい。

個人的に印象深いのは、チャプター1の最後のボスであるバルテウスで、開幕ぶっ放してくるミサイルは独特の軌道で避けにくく気づいたら削られまくっている凶悪さがあり、パルスシールドを展開したり火炎放射をムチのように振るってきたりと独特の挙動にも対応していかなければいけない複雑さもあり、恐らく一番やられた敵なんじゃないかなと思う。寒々しく薄暗いロケーションに、放射状に拡がるミサイルや振り回される炎がボーッと浮かび上がる感じはどこか美しくもあり、視覚的な面でもインパクトが強いのも大きかったかも。

 

エンディングは3種類あり、どれも目的は達成するが少なくない犠牲は出てしまうというビターなもので、安易に全て解決という結末は訪れないところも抗争の無情さを描けていて自分好みだった。

どのエンディングにおいても設定が全て明かされるということはなく、3週目以降でしか見られない真エンディングにおいて物語の影で暗躍していた存在とその目的について判明するが、結局それが何だったのか、これからどうなっていくのかという根底の部分についてはこちらの想像に委ねるような形になっている。やってる最中は夢中で気付かなかったが、こうして全て終わって思い返してみるとあれって何だったんだろう?と気になるところが結構あるんだけど、そこら辺を考察する楽しみもある……ということなのかも。物語の余白を補完するような情報ログが拾えたりするが、続きものではなくバラバラに出てくるので内容を覚えていられない。ここら辺は色々とまとめてくれるサイトがあるので、ゲーム中に追いかけるというよりは後からそういうのを見て楽しむのが吉かも。

 

これまで特に理由はないが触ってこなかったフロムゲーに触れるキッカケになったし(今は『デモンズソウル』のリメイク版をやってる)、正直あまり興味がなかったロボットものについても単なる食わず嫌いだったんだなということを認識出来て、知らないからと言って敬遠せずに何でもやってみるもんだなと思える、大袈裟かもだが自分の中の価値観が少し変えられたような衝撃のある作品だった。