【あらすじ】
ある日ベッドで目覚めた主人公は、全ての記憶を失い自分の名前すら分からない状態だった。目の前にいた赤毛の人は、その状況を理解し言葉を教えてくれるなど献身的に看護をしてくれるが、主人公の体調は日に日に悪化していく…というお話。
一見するとただのビジュアルノベルゲーな今作最大の特徴は、画面上に表示される文字(セリフや書き文字など)がすべて架空の言語で表示されており、ただ見ただけでは何のことを表しているのか全く分からないというところ。最初は目の前にいる人が何を話しているのか全く分からず、ただただテキストを読み飛ばしていくだけの状態になってしまう。
↑こんな感じ
ただし、そんな状況を理解してくれている人…仮に“赤髪”とすると、その赤髪さんは主人公が指し示した物の名前や用途について説明してくれて、その内容を元に文字ごとの意味について推察していくというのがこのゲームのメインコンテンツになっている。
例えば、本棚の中身を調べると絶対に出てくる単語は「本」だなとか、毎日寝るときに話しかけてくれる単語は「おやすみなさい」かな……とか、ある程度あたりをつけながら言葉の意味を埋めていき、主人公の身に何が起きたのか、赤髪さんは何を目的として主人公を世話しているのかを明らかにしていくことになる。
↑一度意味を入力するとふりがなとして現れるようになる
タイトル通り7日間だけのお話で、日数が過ぎると一旦物語は終わりになる。普通にやっているだけだと釈然としないオチを迎えるが、マルチエンディング方式になっていて、期限内に特定の行動を起こし、なおかつ赤髪さんとの会話でどんな言葉を選択するかにより分岐する様子。ゲーム内のヒントだけで全ての言葉を解読するのはかなり難しく、最後の最後まで文章の意味がわからないままなところもあったりするが、それでも意味のあるエンディングに辿り着くことは出来る。かなり精密に言葉を選ばないと見られないエンディングもあり、正直自力では全部見ることはできなかった。
最後の最後まで明確な説明があるわけではなく、真相まで辿り着いてもなおこちらに解釈を委ねるような展開になるので、言葉のパズルを解いていった先に何か明確な解答があるわけではないというのが評価分かれそう。言葉が集まり今まで分からなかった文章の意味が急に分かったりする瞬間はなかなか気持ち良いが、それが正解であるという手応えは無いので、物足りなさを感じてしまったのも確か。
個人制作のゲームらしく、やれることはかなり限られるのでボリューム感はそこまで無かったが、まるで未知の言語を初めて発見した人かのように言葉を解き明かしていくというのは、今までにない体験で面白かった。